ゆうちょは郵便局の貯金業務を担当する部門ですが、ここからお金を借りることができます。古くから国民の生活に馴染んでいて信頼されている郵便局が提供するものなので、安心感は抜群と言っていいでしょう。
元から預金がある場合はそこから借入できて、クレジットカードにキャッシング枠を付けて借入することも可能です。
基本は有担保ローンとしての貸付
銀行や消費者金融業者のカードローンとの違い
ゆうちょでお金を借りるのは、市中の銀行や消費者金融業者などの民間機関からお金を借りるのとは多少の違いがあります。そもそも、ゆうちょ銀行は日本郵政が運営する銀行業務で、かつての郵便貯金が取り扱ってきた金融商品をほとんどそのまま継承したものです。
ゆうちょの借入もそういったサービスのひとつとして提供されます。これは郵便貯金法に基づいて提供されているもので、基本的には利用者の貯金に依拠したローンです。
銀行には銀行法が適用され、消費者金融業者には貸金業法が適用されますが、ゆうちょ銀行にはそれらとは違った法律が適用されるため、貸し出しについても銀行や消費者金融業者とは大きな違いがあります。
ゆうちょ銀行は市中の銀行ではなく、全国銀行協会内でも特例会員として扱われています。銀行であることには変わりませんが、立ち位置は三井住友銀行や三菱UFJ銀行などの都市銀行などとは違っています。
これは貸付業務にも大きな影響があり、基本として貯金を担保とした融資しかありません。もし、民間の金融機関のような個人向け融資をゆうちょ銀行がやってしまうと、膨大な資金力を背景として通常の銀行の業務を圧迫うするリスクがあるからです。
ゆうちょ銀行は巨大な資産を持っているので、たとえば超低金利・高額融資の個人向けローン商品も投入できるかもしれません。そうなると、民間の業者を誰も利用しなくなってしまいます。元は公共機関ですので、民業圧迫と批判されるでしょう。
そのため、ゆうちょ銀行は何度も個人向け無担保融資サービスの商品化を申請していますが、金融庁からの認可はおりていません。
郵政民営化法による制限がある
ゆうちょ銀行も民間の銀行とは社会的な性格が異なります。民間の企業ならアイフルやアコムのようなカードローンや三菱UFJ銀行のバンクイックといった「担保・保証人不要」というローン商品を提供できますが、ゆうちょ銀行ではこういった個人向けローン商品はありません。
これは郵政民営化法による制限も大きく影響しています。ゆうちょ銀行は2015年までは株式市場にも上場していない企業で、上場してからも株式のほとんどを日本政府が保有しています。
完全な民間の企業ではなく、あくまで公共性を維持しつつ、経営の一部を自由度の高い民間企業が業務を実行するというスタンスです。そのために消費者金融業者や銀行が提供する個人向け貸付業務は、何度も素案は提出されているものの、実施は凍結されています。
定額貯金などを担保にする貸付である
ゆうちょ銀行からお金を借りることができるのは、ゆうちょ銀行に担保を持っている人です。担保となる対象は定額貯金や定期貯金です。普通預金ではありません。普通預金と定額貯金はプールしておく場所も違いますし、ゆうちょ銀行内での扱いも違います。
定額貯金・定期貯金をしておくと、ゆうちょ銀行のATMでの自動貸付という制度で審査なしで借りることが可能です。審査なしで自動貸付というのは、三菱UFJ銀行などが提供している普通預金口座に付帯したローンなどで提供されていますが、通常は存在しません。
限度額や利率は借りる形で多少の違いはありますが、非常に低金利です。たとえば財産形成貯金を担保としたときは約定利率に0.25%をプラスしたものが利率となりますが、貯金担保貸付では約定利率に0.5%をプラスしたものを利率とします。
貸付期間は最長で2年で、もし自分の定額預金が2年以内で満期になるときには満期までの期間が貸付期間となります。
ゆうちょからお金借りる3つの手段
担保によって3つの種類がある
1.貯金担保自動貸付
ゆうちょ銀行の総合口座で管理する定額貯金または定期貯金を担保とする貸付です。預け入れ金額の90%以内または300万円まで融資が可能です。
通常口座の残高よりも多く引き出すと、総合口座の通帳にはマイナスで記帳されます。
貸付限度額 | 1冊の総合口座通帳につき最大300万円 |
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貸付機関 | 貸付した日から2年間 |
返済方法 | 貸付金額と利子を預け入れすると自動的に返済となる |
貸付期間内なら、何度でも利用可能です。
2.国債等担保自動貸付
ゆうちょ銀行の総合口座で管理する国債を担保とする貸付です。ゆうちょ銀行または郵便局で購入した国債であることが条件です。
通常貯金の残高よりも多く引き出すと、通帳にはマイナスで記帳されます。
貸付限度額 | 国債の80%まで、かつ1人につき最大200万円 |
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貸付機関 | 貸付した日から1年間 |
返済方法 | 貸付金額と利子を預け入れすると自動的に返済となる |
借入に制限はありません。一度に高額を借りるのに抵抗を感じる人は少額ずつ借りることも可能です。
3.財産形成貯金担保貸付
財産定額貯金や財形年金定額貯金、または財形住宅定額貯金を担保とする貸付です。預け入れしている金額の90%に利子を加えた金額の300万円まで借入できます。
貸付限度額 | 最大300万円 |
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貸付機関 | 貸付した日から2年間 |
返済方法 | 期間内に貸付金額と利子分をゆうちょ銀行の窓口で返済 |
自動貸付の方法
自動貸付を受ける流れは以下のようになっています。
申し込み
自動貸付の申し込みは、ゆうちょ銀行か郵便局の貯金窓口で行います。担保となる定期貯金、国債があればすぐに契約可能です。
審査
定額貯金や国債が担保となるので、審査はありません。
貸付
ゆうちょ銀行のATMまたは貯金窓口で借入することができます。
返済
ゆうちょ銀行のATMまたは貯金窓口で返済をします。もし期間内に返済できないときには担保の貯金や国債は強制的に解約されます。
審査なし・低金利
ゆうちょ銀行の自動貸付は、基本的に審査はありません。消費者金融業者や銀行のカードローンを申し込むと審査がありますが、これは申込者の返済能力だけが返済を保証するものだからです。
ゆうちょ銀行の自動貸付では、定期貯金や定期貯金、国債が担保になるので、もし返済できなければその担保を現金化することで済むので、審査をすることはありません。
また、担保となる貯金があることによって金利も非常に低く、銀行や消費者金融業者から借入するよりも遥かにお得に借りることができます。
貯金担保自動貸付 | 担保定額貯金 | 返済時の約定金利プラス0.25% |
保定期貯金 | 預け入れ時の約定金利プラス0.5% | |
国債等担保自動貸付 | 貸付時の預け入れ期間1年の定期貯金の約定利率プラス1.7% | |
財形形成貯金担保貸付 | 返済時の約定金利プラス0.25% |
約定金利は契約によって定められた利率のことで、2018年にはゆうちょ銀行の約定利率は0.010%です。定額貯金を担保にした利率は「0.010%プラス0.25%」ですので、0.26%となります。
これほど低い金利でお金を借りることができるのは、民間の金融機関では他になく、ゆうちょ銀行しかありません。
ゆうちょ銀行発行のクレジットカードでお金借りる方法
「JP BANKカード」にキャッシング枠をつける
ゆうちょ銀行も、市中の都市銀行や地方銀行が発行しているようなクレジットカードを発行しています。これは通常のキャッシュカードにクレジット機能を付帯したもので、みずほ銀行などが導入しているものと同様です。
数多くの種類がありますが、クレジットカードと一体になったキャッシュカードは「JP BANKカード」という名称で、VISA・マスター・JCBの国際的な3つの決済ブランドから選択することができます。
ここに本文を入力若い世代向け専用のカードやゴールドカードなども提供されており、家族カードの申し込みも可能です。国際ブランドのクレジットカードとして国内外でショッピングやキャッシングができます。
VISAとマスターは利用枠が10万円から80万円まで設定でき、JCBだと100万円まで設定可能です。
キャッシング機能を使ったときの利率は実質年率は15.0%となっており、借入額に関わらず一律で設定されます。消費者金融業者のカードキャッシングはおおよそ18%で一律に揃っているので、それに比較すると有利な金利と言えるでしょう。
審査はネットで申し込むことができますが、事前に手続きが必要なこともあります。事前の手続きがクリアできれば、申込書と本人確認書類を返送してカードが発行されるのを待つだけです。
わざわざゆうちょ銀行に行かなくても利用開始できます。審査によっては希望にそえないこともあるので注意しましょう。
8つの種類がある
JP BANKカードには8つの種類があります。それぞれに一般カード、若者向けカード、ゴールドカードなどの設定があります。カードの種類やランクによってキャッシング枠に変動があります。
JP BANKカードの8種類
カード | キャッシング利用枠 | 金利 |
アレンテ | 30万円まで | 15% |
VISA一般カード | ||
マスター一般カード | ||
VISAゴールドカード | 50万円まで | |
マスターゴールドカード | 社会人:50万円まで学生:利用不可 | |
EXTAGE | 50万円まで | |
JCB一般カード | ||
JCBゴールドカード |
使い方
ATM利用
JP BANKカードは、ゆうちょ銀行のATMだけでなく、提携している金融機関のATMでも借入できます。
たとえば三井住友銀行やみずほ銀行、三菱UFJ銀行などのメガバンクや全国の農協と提携していますし、地方銀行にも提携しているところがあります。店舗やATMの機種によっては利用できないものもあるので事前に確認しておきましょう。
振込サービス
ATMでの借入以外にも、自分の口座に振込で融資を受けることも可能です。JP BANKカードの振込サービスはネットの会員ページから24時間いつでも申し込み可能です。
受け付けが完了すると5営業日後に口座に振り込まれます。手数料は無料ですのでお得なサービスと言えるでしょう。
一括払いとリボ払いから選択
JP BANKカードのキャッシング利用の返済方法は一括払いとリボ払いから選択できます。一括の場合には支払日に口座から利用額と利息を引き落とします。リボ払いは、利用額によって返済額が変動します。
・利用枠10万円・20万円:1万円・2万円・4万円・5万円のいずれか
・利用枠30万円:2万円から6万円まで1万円刻みのいずれか
即日融資には対応していない
JP BANKカードのデメリットは即日融資に対応していない点でしょう。ゆうちょ銀行でキャッシングできるなら、すぐに申し込みたいと思っても、利用できるまでには手間がかかります。
申し込みでは、まず入会申込書を請求する必要があります。早ければ3日程度で郵送されますが、遅い場合には1週間以上かかります。
さらにその後の手続きやカード発行に時間を要するので、申し込みから3週間ほど待たないと利用できません。緊急でお金が必要という場合には適していないことは抑えておきましょう。
ちなみに、ゆうちょ銀行ではスルガ銀行のカードローン「したく」の仲介をしていましたが、新規申し込みは2018年に終了しています。
まとめ
ゆうちょ銀行からお金を借りるのは、基本的に有担保ローンになります。元から自分がゆうちょ銀行に預けているお金や国債を担保として借りるものです。
担保付きローンなので金利は非常に低金利です。